- FXの「両建て」っていったい何なの?
- 両建てをするメリット・デメリットが知りたい
- ついでに両建てを使った取引やオススメのFX口座についても知りたいなぁ~
この記事では、こんな悩みを解決できます。
- 両建てとは
- 両建てをするメリット 5つ
- 両建てをするデメリット 3つ
- 両建てを効率よく使う方法
- 両建てにオススメのFX口座 3選
FX初心者の方は、「両建て」って何のためにあるの?メリットはあるの?
こんな疑問を抱いたことありあませんか?
筆者もFX初心者の頃、「両建てって何?」と思いつつ取引してました。
ただ、両建てのメリットを知らないと損をしてしまう場合もあります。
そこで今回は、両建てについて実際にチャートを使用して詳しく解説していきます。
両建てとは?
「両建て(りょうだて)」とは、同じ通貨ペアで「買いポジション」と「売りポジション」の両方を同時に持つことを言います。
例えば、あなたが「1,000通貨の買いポジション」を持っていて、
「1,000通貨の売り」を注文した場合。
本来(両建てしない場合)ならば、今持っている「1,000通貨の買いポジション」が決済されます。
ただし、両建てすることで、「1,000通貨の買いポジション」を決済せずに、「1,000通貨の売りポジション」も同時に持つことができるのです。
分かりづらい人は、画像で見てみよう!


このように、両建てすることで「買いポジション」を決済せずに「売りポジション」を持つことができます。
(逆に「売りポジション」を決済せずに「買いポジション」を持つこともできる。)
では、両建てするとどんなメリットがあるのでしょうか?
次の章で解説していきます。
両建てのメリット 5つ
両建てには、以下のような5つのメリットがあります。
- 長期ポジションと短期ポジションで使い分けることができる
- 損切りせずに損失の拡大を防ぐことができる
- 相場急変時のリスクヘッジになる
- スワップサヤどりができる
- 税金額の調整ができる
詳しい内容を確認していきましょう。
長期ポジションと短期ポジションを分けることができる
両建てをすることで、長期ポジションと短期ポジションを使い分けることができます。
例えば、下のチャートをご覧下さい。

こちらは、米ドル/円の日足チャートです。
1月29日に買いサインが出ていますね。(買いサインの判断方法は、別記事を用意しています。)
日足チャートなので、長期的なトレードとしてエントリーしました。(目標110円)
次のチャートをご覧ください。

今度は、米ドル/円の1時間足です。
2021年2月9日に1時間足チャートで売りのサインが出ました。
(まだ、先ほどの買いポジションが残っています。)
ですが、普通に売りエントリー(両建て無しのエントリー)をしてしまうと、先ほど日足を見て長期的に買ったポジションが決済されてしまいます。
この時に、両建てを使うことで、先ほどの買いポジションを決済せずに「売りポジション」を持つことができるのです。
このチャートでは、予想通り米ドル/円が下がってきたので、「売りポジション」のみを決済すれば、元々持っていた「買いポジション」をそのまま維持することができます。
このように、同じFX口座で短期ポジションと長期ポジションを分けることができるのです。
損切りせずに損失の拡大を防ぐことができる
両建てをすることで、損切りをせずに一時的に損失の拡大を防ぐことができます。
本来、自分の予想と逆方向にレートが動いた場合「損切り」をすることで、損失の拡大を食い止めることができます。
その場合は、含み損を確定させる必要があります。
両建てを使えば、含み損益を確定せずに損失を食い止めることができるのです。
例を見ていきましょう。
例)米ドル/円の通貨ペアで110.400のレートで1万通貨買った場合。

レートが110.200になり、「まだまだ落ちそう」と思った場合は、損切りをすることでこれ以上の損失を食い止めることができます。
この場合は、(110.400-110.200)×10,000=2,000円の損失になります。
どうしても、この2,000円の損失を確定させたくない場合は、両建ての売りをすることで損を確定しなくても、損失の拡大を防ぐことができるのです。
110.400の買いポジションを110.200で決済した場合
- 2,000円の確定損失になる
- ポジションが無くなったのでどちらに動いても損失が増えない
110.200で買いポジションを決済せずに、両建てで1万通貨売った場合
- 「買いポジションは、含み損-2,000円」
+「新たな売りポジションができる」 - レートが上がっても、下がっても2つのポジションの含み損は-2,000円のまま変わらない
例1)ドル/円が110.400に戻ったら、買いポジションの含み損益が±0円
そして、売りポジションの含み損が-2,000円になる
例2)ドル/円が110.000まで下落したら、買いポジションの含み損が-4,000円
売りポジションの含み益が+2,000円になる。
どっちに動いても、-2,000円のままキープできる
効果的には、損切りしたことと同じですよ。
損を確定するなら「損切り」含み損のままにしたいなら「両建て」だね。
相場急変時のリスクヘッができる
両建てをすることで、相場急変時のリスクヘッジをすることができます。
FXでは、「経済指標の結果発表」や「要人発言」の際に相場が急変することがあります。
その際に、反対のポジションを両建てすることによってリスクヘッジをすることができるのです。
FXでは、相場が一時的に大きく下がったり、逆に上がり過ぎたりすることがあります。
その際に、両建てをしておくことで、大きな損をしてしまうことを防ぐことができるのです。
「相場急変前に利益確定すればいいじゃん!」と思うかもしれませんが、税金の問題で利益確定しない方が良い場合もあります。
スワップサヤどりができる
両建てをうまく使うことで「スワップサヤどり」ができます。
「スワップサヤどり」とは?
「スワップサヤどり」とは、各FX会社のスワップポイントの差額をうまく利用して稼ぐ投資戦略です。
例えば、
- A社の米ドル/円の1万通貨の買いスワップが「8円/日」
- B社の米ドル/円の1万通貨の売りスワップが「-5円/日」
の場合
A社で米ドル/円を1万通貨買うと毎日8円のスワップポイントが付与されます。
そして、B社で1万通貨売ると毎日5円のマイナススワップを支払うことになります。
この場合、差額の3円が毎日の収入になるのです。
(スワップポイントの変動リスクもありますが…)
さらに
A社では1万通貨の買っていますが、B社では1万通貨の売っているので
相場が上下どちらに動いても損失は増えないという仕組みです。
このように、両建てをうまく使うことで「スワップサヤどり」をすることができます。
スワップサヤどりは、低リスクで稼ぎやすい手法だよ。
詳しくは、また記事を書くのでもう少しお待ちくださいね。
税金額の調整ができる
両建てを使うことで、税金の調整をすることができます。
我々日本人は、1年間(1月1日~12月31)の所得に対して、税金を支払いますよね。
FXの場合は、1月1日~12月31日の期間の確定収益に対して税金がかかります。
そして、サラリーマンの副業収入が20万円を超えた場合は、確定申告が必要になります。
さらに、年間38万円を超えると親や配偶者の扶養から抜ける必要があります。
両建てをうまく使うことによって、この確定収益を調整することができるのです。
例を見ていきましょう。
例)1月1日からの確定収益が18万円あり、現在含み益が+3万円ある場合。

画像の白いラインで下がると予想したら、利益を確定したいですよね?
しかし、含み益が+3万円あるので、利益を確定してしまうと年間20万円を超えてしまいます。
年間20万円を超えると確定申告をする必要があるので、できれば避けたいですよね?
この場合、両建ての売りをすることで、利益を確定せずにポジションをフラットにすることができます。
買いと売りを同じ数量所持していれば、その後上昇しても下降しても含み益は3万円のままです。
そして、翌年1月1日以降まで利益確定しなければ、年間の確定収益を18万円で終えることができるのです。
このようにして、税金を調整することができるのです。
以上が両建てのメリットでした。
次は、両建てのデメリットを見ていきましょう!
両建てのデメリット 3つ
両建てをするデメリットは以下の3つです。
- 取引コストが2倍になる
- マイナススワップで損をしてしまう可能性が高い
- チャンスを逃しやすくなる
詳しく解説していきます。
取引コストが2倍になる
両建てをするということは、2倍の取引をすることになるので取引コストが2倍になってしまいます。
取引数量が多くなると、1回あたりのコストが大きくなるので注意が必要です。
- 両建てをしない場合
「新規注文」⇒「決済注文」の1回のみ - 両建てする場合
「新規買い(売り)注文」⇒「新規売り(買い)注文」⇒「1つを決済注文」⇒「もう1つを決済注文」のように2倍のコストがかかる
両建てなし=決済して終わりだけど
両建てすると2つのポジションを決済しなくちゃいけなくなるよね。
マイナススワップで損してしまう可能性が高い
両建てをするとマイナススワップで損をする可能性が高くなります。
ほとんどのFX会社は、買いのスワップポイントよりも売りのスワップポイントが高くなります。
売りスワップの方が高いということは、同じ数量を持っていると毎日損失が拡大していくことになります。
例を見ていきましょう
A社のスワップポイント(1万通貨当たり)
通貨ペア | 買いスワップ | 売りスワップ |
米ドル/円 | 5円/日 | -15円/日 |
この場合、買いスワップと売りスワップの差額は-10円/日になります。
もしも両建てで10万通貨ずつ持っていた場合、毎日-100円となります。
10日間両建てで保有すると、-1,000円マイナススワップを支払わなければいけません。
このように、同じFX会社で長期間両建てすると、マイナススワップで損してしまう可能性が高くなるのです。
できるだけ、早めに両建てを外した方がいいけど、焦ってしまうと損失の原因になってしまいます。
はじめから両建てせずに、「素直に損切りしておけばよかった」と思うこともありました。
新しいポジションが取りづらくなり、チャンスを逃す可能性がある
両建てをすると新規のポジションが取りづらくなるので、チャンスを逃してしまう可能性があります。
なぜポジションが取りづらくなるかというと
両建ては、必要証拠金が固定されてしまうことが原因です。
ポジションを持っていると、そのポジションに必要な証拠金(担保)が発生します。
つまり、次のチャンスの時に使える証拠金が少なくなってしまうのです。
例を見ていきましょう。
例)両建て時「MAX(マックス)方式」を採用するFX口座で10万円入金している場合
両建てをしたときに必要な証拠金が
各通貨ペアの「買いポジションの合計」と「売りポジションの合計」の金額の高い方の証拠金のみ適応される方式です。
MAX方式を非採用のFX口座よりも必要証拠金が少なくなります。
MAX方式採用のFX口座
- 「みんなのFX」
- 「GMOクリック証券」
- 「ヒロセ通商」
- 「セントラル短資FX」
- 「外為どっとコム」
- 「SBI FXトレード」
- 「LINE FX」
- 「JFX」
- 「LIGHT FX」
など
MAX方式が非採用のFXで両建てをすると
「買いポジションの合計」と「売りポジションの合計」の両方に証拠金が必要となります。
MAX方式よりも必要証拠金が高くなるので、両建てに不向きとなります。
MAX方式非採用のFX口座
- 「DMM FX」
- 「外為ジャパンFX」
- 「YJFX!」
など

上のチャートのように、すでに「1万通貨の買い」・「1万通貨の売り(両建て)」が行われていたとしましょう。
この時の必要証拠金は、MAX方式の場合「約43,000円」になります。
つまり、「残り自由に使える金額は57,000円」になります。
米ドル/円の場合は、約1万通貨程度しか取引ができません。
そして、次の買いのチャンスが来た時に買える金額が少なくなってしまうのです。
もしも、両建てしていなければ、このチャンスで2万通貨買うことができたことになります。
このようにチャンスの時の注文できる数量が少なくなる可能性が高いのです。
以上が両建てのデメリットでした。
次は、両建ての効果的な使い方について解説していきます。
両建ての効果的な使い方(チャート付きで解説)
両建てを使った具体的な取引方法をチャート付きで解説してきます。
税金対策
サラリーマンの副業の場合、年間20万円以上の副業収入があると、確定申告にて納税の義務が発生します。
大学生や専業主婦の場合は、FXで年間38万円以上収益がある場合に親や配偶者の扶養から外れてしまうのです。
その際に、両建てをうまく使うことで税金対策が可能になるのです。
具体的なやり方を例に従って確認していきましょう。
例)親の扶養に入っている大学生FXトレーダー
1月1日からの確定収益が25万円あり、現在含み益が+15万円ある場合。
このまま利益を確定すると、年間の確定収益が38万円を超えてしまいます。

年間の収益が38万円をこえると、親の扶養から外れなければならないので、避けたいところ。
そこで両建てして買いを入れると、利益を確定せずに今後どちらに動いても利益をキープすることができるのです。
このようにして、年間のFXの確定収益を翌年に持ち越すことができるのです。
損失を利確で終わらせる
両建てを使って損失を利益で終わらせる方法です。
この方法は、必ずうまくいくわけではありません。
しかし、損切りをせずに損失を利益にして終わらせられる可能性があります。
こちらの画像をご覧ください。

こちらは、ユーロ/円の週足チャートです。
最初に124.000円で買いましたが下落していき、122.000円時点で
「まだまだ下落していくだろう」と判断しました。
本来なら、ここで「損切り」もしくは「ドテン」するべきですが、両建てすることで損失を確定せずに利益に変えることができます。
122.000円で売り(両建て)を入れてどんどん落ちてきました。
そして、下落が終わるタイミングで売りのみ利益確定を行います。
チャートでは、116.500で2番底を付けたため、売りポジションのみを利益確定。
(+550.0pips)の利益です。
その後、上昇トレンドに乗って124.000円まで引き付けて買いポジションを決済することで、損切りすることなく利益で終えることができました。
このように、両建てが上手くハマれば損切りせずに稼ぐことも可能です。
両建てを使えば、損切りしなくても稼ぐことはできるけど、
普通に損切りしたほうが取引コストは少なくて済みます。
ほとんどの億トレーダーも両建てを使わないことを考えるとオススメの方法とはいいがたいでしょう。
両建てにオススメのFX口座 3選
両建てにオススメなFX口座は以下の通りです。
詳しく解説していきます。
みんなのFX

両建て | 可能 |
証拠金 | MAX方式 |
スワップ差 | 狭い |
みんなのFXは、両建てが可能です。
さらに、両建て時に必要証拠金が有利になる「MAX方式」を採用しています。
売り買いのスワップ金利の差も少ないので、両建ての取引に有利なFX口座だと言えます。
https://sawamura-shin-fx-kouryaku.com/minnanofx-hyouban/
LIGHT FX

両建て | 可能 |
証拠金 | MAX方式 |
スワップ差 | 狭い |
LIGHT FXも両建てが可能なFX口座です。
両建て時の証拠金は、「MAX方式」を採用しているので、証拠金も有利になります。
売り買いのスワップ金利の差も狭いので、両建てにオススメなFX口座だと言えるでしょう。
https://sawamura-shin-fx-kouryaku.com/lightfx-hyouban/
GMOクリック証券(FXネオ)

両建て | 可能 |
証拠金 | MAX方式 |
スワップ差 | 狭い |
GMOクリック証券(FXネオ)は、両建てが可能なFX口座です。
必要証拠金は、「MAX方式」を採用しているので、両建て時に有利になります。
売り買いのスワップ金利の差が、狭い方なので両建ての取引でも損しづらくなります。
https://sawamura-shin-fx-kouryaku.com/gmokurikkusyouken-hyouban/
FXの両建てについて:まとめ
この記事では、FXの両建てについて徹底解説してきました。
いかがでしたでしょうか?
FXの両建ては、税金の調整やリスクヘッジができるなどいろいろなメリットがありましたね。
その一方で、マイナススワップで損しやすいや取引コストが倍になるデメリットがあります。
実際に稼いでいるFXトレーダーは、両建てを使用しない人が多いです。
実際に筆者もサヤどり以外で両建ては使いません。
ただ両建てについて知っておくことは、今後の役に立つ可能性もあります。
ぜひ、今回の内容を覚えておいてくださいね。
最後までご覧いただきありがとうございました。